突然ですが、プロベートって知ってますか?
プロベートと言っても実際には状況次第で色々な意味があるのですが、今回は、海外で資産を管理する時には絶対しておきたい”プロベート=検認”についての記事となります。
遺産についての話なのでしっかり向き合いづらい内容であると思いますが、それでも海外移住者が増える現代で、避けられない知識だと考えています。
プロベートが何かまだ知らない人も、なんとなく知っていたけどまだ対策をしてない人も、是非ご参考にして頂ければと思います。
プロベートって何?
資産管理・金融の観点で言うプロベート(Probate)とは検認とも言います。
特にアメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、シンガポール、香港、マレーシアなどで資産を管理している人・投資をしている人にとって理解しておくべきことで、
端的に言えば、資産の所有者が万が一にも亡くなってしまった場合に、その遺産を誰がどれくらい受け取るべきかを判定する法的なプロセスです。
プロベート対策をしてない場合に起こる事
資産・遺産の回収にかかる時間
プロベート対策をしているかしていないかでどういう差がでるかと言うと、まず大きなポイントは”かかる時間”です。
私自身がマレーシアに住んでお仕事をさせて頂いているのでマレーシアのケースを例にとると、
プロベート対策がされていない場合には、裁判所とのやり取りを行い、Letters of Administration(法的に権限を与える文章)を作成、それを遺産管理人に与え手続きを行う流れになります。
そして、このしれっと書いたプロセスが時間がかかるものとなります。
マレーシアの場合にはお金の回収に最大2,3年かかることもあると言われ、これに対し、事前にプロベート対策を行っている場合は2,3か月から半年ほどが目途となります。
資産・遺産の回収にかかるコスト
2,3年最大かかることもあると言われるプロベートですが、その間、代理人を立てたり、弁護士に様々な依頼をしたりと、それなりのコストがかかってきます。
同じ国に住み続けられる場合であってもコストは気になる要因になってきますが、もし遺産を受け取るべき方と資産の管理国・地域が異なる場合にはより気を付けなければなりません。
言語障壁
様々な形で海外移住者が増える中で、どれほどの人が移住先で言葉に問題が無いかと言えば、問題が全くないという人はかなり少数派ではないでしょうか。
そうすると法務のやりとりを外国語でできるのかという問題も注意ポイントになってきます。
プロベートのプロセスの中で必要となるであろう代理人や弁護士の他にも、通訳や翻訳の作業のための人を巻き込んで対応していくことになります。
プロベートの対策方法
①適切な遺言状を作成する
マレーシアを含め、一般的には資産を所有している国・地域の弁護士などを通して適切な形で遺言状を作成するというのが、検討すべき対応策の1つです。
私がマレーシアで銀行預金&定期預金、マレーシア株、マレーシア年金(EPF)、を所有している場合、マレーシア弁護士を通じて適切に遺言状を作成することで、マレーシアにて所有する全ての資産に対し、プロベート対策をすることができる。
②信託を利用し受益者を指定する
もう一つの方法として、当社がお客様の運用サポートで利用しているサービスでもありますが、一部の国際金融機関は投資家の資産保全のためにプロベート対策ができる構造で運用・管理ができるようなサービスを提供しています。
有事の際に備えて、どこまで細かくお金の流れを決めておくかにもよりますが、プロベート対策&受益者(要は遺産を受け取る人)を決定しておく、などの準備内容であれば無料行える場合が多いです。
現代の資産管理の課題
海外移住者が増えるにつて、資産管理の方法・場所も様々になってきています。
2,3カ国・地域で資産を管理・投資しているというケースは決して珍しいことではなくなってきていると思いますが、その際に”資産の保全”はしっかりされているでしょうか?
例えば資金を預けている金融機関や投資会社が万が一にも倒産した場合には資金はどうなるのか?という観点で資産の保全性を考えることも重要ですし、
資金を管理している先が適切に金融庁・管理当局の管轄下で本当に業務を行っているのかのしっかりとした確認も資産の保全性の観点では重要です。
今回触れているプロベートの件もそうですが、資産を増やしたいという観点以上に、資産をしっかり守るということは最重要課題はないでしょうか?
海外に出ると今までなかった投資(違法なものも含め)を目にすることが増えていくかと思いますが、資産管理・資産運用に置いては”まず負けない&失わない”ということが最も重要です。
是非”守る”という観点を忘れずに海外資金を管理して頂ければと思います。