ニュースで目にするような投資詐欺は90%以上がポンジースキームと呼ばれる構造です。
日本でもマレーシアでも良くありますよね。老後のために貯めていた資金を失った!!のような話。
”投資が怖い”と思う人がいる大きな要因の一つがポンジースキームだと思っていて、本質的には投資に原因があるのではなく詐欺行為が元凶となっています。
他者からお金を奪う”詐欺のための手段”として投資の話をしているだけであって、最も恐れるべきは詐欺であり詐欺師です。
私の知り合いの間だけでも、儲け話と思い、結果としてポンジースキームに出資した結果全ての資金が無くなった、、、のような人はそれなりにいて、何故か全くポンジースキームは無くなりませんよね。
今回のブログ記事では、金融業界・商品に関わったことがあまりない人でも、ポンジースキームとは何か?騙されないようにするには何に気を付ければ良いか?どのような人・商品が危ないのか?ついてまとめていきます。
ポンジースキームの話と言いつつ、少々ねずみ講のケースも含んで表現しているところもありますが、いずせにせよ要注意事項なので是非ご参考ください!
ポンジースキームとは
まず、そもそもポンジースキムって何?ですが、ポンジースキームという詐欺形態は実は100年前から存在します。
アメリカの天才詐欺師であるチャールズ・ポンジーが由来となっていて、1910年代に『3か月で40%以上のリターンが見込める』という魅力的な営業文句で10億円以上を集め、
預かった資金は実際には全く運用せず、出資者に一定期間配当の支払いを行うが、最初から”集めるだけ集めて破綻させることを目的としていた詐欺”です。
このチャールズ・ポンジーが生み出した詐欺構造が100年も続いて、現代でもポンジースキームとして残っている訳です。
“楽して稼ぎたい”という甘い気持ちを狙う手法でもあり、人が存在する限り今後も無くならないんでしょう。
それほどの世紀の発明な訳(悪の)ですが、この記事を読んで少しでもポンジースキームへの理解を深めて頂ければと思います。
投資に置ける最大リスク”発行体リスク”を認識する
ポンジースキームの話に移る前に大前提として理解すべき”発行体リスク”という考え方があります。
多くの方が投資の話をする時に、こういう商品ではXX%のリターンが見込める、、、などリターン・%の話をしがちですが、本質的にはそんな話の前に発行体リスクがどのようになっているかの認識が最重要ポイントです。
端的に言えば発行体リスクとは、
- 資産を預けた会社・人が倒産した時に預けた資金はどうなるか
- 資金を預けた会社・金が飛んだ時に預けた資金はどうなるか
- 誰が自分の資金に触れるのか
についてです。
リスクは必ずしも悪いものではないですが(リスクが無いものにリターンは生まれないので)、自分がどのようなリスクを負っているのか自覚する必要があります。
以下は1つの例ですが、
A社が”X投資商品”を販売していて、12%/年の確定リターンがあります。それに対しYさんが1,000万円を拠出し買いました。しかし、A社とYは一蓮托生の関係になっていて、A社が倒産するとYさんの資金も全て無くなる。
という構造では、Yさんの資金は高い発行体リスクにさらされていることになります。
そして、ポンジースキームの構造は全てこのようになっています(上場企業の株を買うケースとは分けて考えて下さい)。
発行体リスクについて理解してもらった上で、ポンジースキームの話になります。
ポンジースキームには共通の傾向があり、その傾向について6つご紹介します。
これら6つの内、2つ被ったらもう危ないと思ってもらって差し支えないと思うので是非ご参考ください!
ポンジースキームに見られる6つの共通事項
1. 高利回り
低い利回りよりは高い利回りの方が良いですよね。
それは絶対そうなんですが、実は金融先進国では”高すぎる利回りを想定した商品を紹介する・プランニングを立てる”ことは金融庁の規制上できなくなってきています。
ポンジースキームの場合にはそもそも金融庁の監督下で活動をしていないので、魅力的で耳障りの良いことをどんどん並べ、利回りについても”実際に達成するつもりもない中”で魅力的な利率を提示します。
ポンジースキームの営業・紹介者の謳い文句は”通常の手法では出せない魅力的なリターン”です。
資産運用をする側としては現実的な範囲で高いリターンが望ましいと思うので、”非現実的なリターン”に対する線引きをどうすれば良いのでしょうか?
私個人の感覚的な表現となりますが、10%/年以上の利率を簡単に達成できる的な印象があれば気を付けるべきだと思います。
ポンジースキームの本質は”お金を出させるだけ”です。
騙す側は騙してお金を出させる内容作りに特化しているので、それっぽく儲けられる仕組み(例えばAI事業や医療事業、暗号通貨事業など)を説明する中で、高いリターンを魅力として出してきます。
2. 高頻度の配当
高リターンと合わせて注目するべきポイントは”配当の頻度”です。
ポンジースキーム詐欺が高い確率で高頻度の配当機能(例えば月々支払いがある)を持っているのは”信頼を素早く築くため”です。
例えば1,000万円の予算で投資を考えている人がいるとします。
最初は怖いから300万円で投資をしてみて、運用開始後に毎月配当が入ってくると、300万円じゃなくて1,000万円のほうが配当額も大きくなるじゃないか!と思う人も出てきますし、
ポンジースキーム側の営業・紹介者も間違いなくその点をアピールしてきます。
開始額が必ずしも高く設定されてないのはそういうカラクリです。
もっとお金を出させる仕組みづくりを詐欺師としてちゃんとやっているんですね。
余談ですが、世界的に金融業界では”配当”という概念・言葉には気を付けなければならなくなっており、そもそも自己資金の一部(もしくはポンジーの資金は誰かの資金)が配られている場合、
利益になってないのに利益が出ているような錯覚を起こさせることから、”配当”という概念・表現には規制が強まってきています。
全うな資産形成・運用を使用としたときにはある程度の時間が必要で、時間を掛けることでリスクを削っていきます(また必要に応じて分散投資でリスクを削っていきます)。
月々の配当を約束していくというのは、”ギャンブルに毎回勝ち続けなければ達成できないレベルの話”であり、本来の投資の考え方からあまりに逸脱しています。
3. 元本保証
全うな元本保証商品が無い訳ではありません。
私も個人的にオフショアの元本保証商品を1つだけ持っていますが、日本人は元本保証という言葉が大好きで、そこを詐欺師は良く理解しています。
分散投資では、ある程度の期間運用を続けることで統計上の元本割れの確率を限りなく0%近づけることはできたりしますが、
ポンジースキームに良くあるのは、元本保証という謳い文句と並べられるのが”XXの期間資金を動かすことはできません”というものです。
世の中には色々な投資があって、資金が一定期間ロックされること=悪ではありません。
ポンジースキームの多くが、運営側内部で資金を動かさないといけないので(例えばこれから騙す客の資金で今の客の配当資金を作るなど)、ある程度の期間設定が必要です。
実際には元本保証という事項だけで詐欺かどうかを判定するのは難しいかもしれませんが、紹介している他の5つの事項と共存していると、詐欺の確率はグッと高まります。
4. リターン保証
確定給付年金が確定拠出年金に置き換えられたように、現代では運用利率・リターンを保証するという考え方は少なくなってきています。
これは単純に多くの先進国が顕著な経済成長を終え、リターンを保証することが非常に難しくなったからです。
毎月X% or 毎年XX%のリターンを保証します!のような仕組みでは、ポンジースキームの場合には後発の投資家の資金を持ってリターンの保証をしていたりします。
長期の保険商品を購入する場合にはある程度運用に時間を掛けることと、得られる利率が保険会社により現実的な範囲に設定されているのでNGとはなりませんが、
例えば毎月3%のリターンを約束します!のような場合はどうでしょうか?
どのような運用の仕組みを謳うにせよ、そのリターンを例外なく継続的に生むことは不可能と言っていいことで、約束するべきでないことを約束するのがポンジースキームや不適切販売の特徴です。
5. 紹介料
ねずみ講の話とも少し被ってくるかもしれませんが、投資を始めるか検討中、もしくは始めた後に、「友達とか家族を紹介してくれればXX%の紹介料があるよ!」みたいな話が出たりします。
しかも結構な%の紹介料だったりします。
”紹介”という行為が怖いのは、そもそもライセンス的にNGな場合が多いのと、紹介をした側とされた側の人間関係が終わってしまう点です。
私がマレーシアで生活する中でどうみてもそれポンジーorねずみ講ですよね。。っていう案件に投資しませんか?みたいに何件か紹介されことがありましたが、
私のトーンとしては「いや、それどう見たってポンジーですし、人を巻き込むとお金だけじゃなく人間関係・信頼も失うけど自覚してますか?」という感じで、当然なら私はノータッチです。
それらのスルーした案件は全て半年後とかに吹き飛んでました。
そしてそれに誘われて出資した知人に愚痴を聞かされるなど。。
6. 無免許・無認可
医療や法務などと一緒で、金融業界でも金融庁の規制・監督の下で金融商品が作られたり、販売されたりします。
この辺を一般の方々はあまり意識していなくて、例えば病院に行くと医師が資格を持っていて当然、、のように金融商品を紹介してくる人=自分より金融知識があって金融で儲けられている人と思ってしまうケースが多いのではないでしょうか。
なぜか自分の人生に関わることなのにこの辺をなあなあにしてしまう人がいて、対峙している会社・人間のライセンスはやはり確認するべきです。
ライセンスのことを相手から説明されてもわからないことも多いかと思いますので、しっかり単語を聞き出して、後で検索して調べるくらいの作業はあってしかるべきです。
金融庁から認可を受けている会社はオンラインでも比較的簡単に見つけることはできますし、相手が詐欺師であれば無いものをあるというのは当然の行為なので、自分も動くことはとても大事です。
6つの内2つ重なったら詐欺だと疑うべき
今回はポンジースキームに見られる6つの傾向を紹介しました。
1つであれば、全うな仕組みの中でリスクが適切に何らかの形で取られ運営される場合もあるかと思います。
ただし2つ重なったら既に気を付けなければならず、むしろ確定と言ってよいレベルかもしれません。
資産運用に置いて最も避けなければならないリスクは拠出資金全てを失うことです。
ポンジースキームでは発行体リスクが最高でリターンは0。話に乗ってしまった時点でアウトです。
良くしてくれるから、、とか(詐欺師は良くするのが仕事なので)、なんかスゴそうだから、、とか(スゴそうに見せるのが得意なので)、人生に関わることを曖昧に決めるのではなく、
投資の話があった時には今回紹介した6つの事項と照らし合わせて冷静に考えてみて下さい。