日本国内でオフショア保険積み立てに関わるトラブルは多々起きています。
理由は色々ありますが、日本国内の法律・規制を受けていない商品を日本国内でマーケティングし、限りなくブラックに近いグレーゾーンで販売しようとしてきたことが主な原因ではないでしょうか。
海外商品を日本居住者が利用すること自体に問題があるのではありません。
販売のされ方に問題があることが多いです。
販売の過程でブローカーが関わり(中にはMLM構造のようになっていたり)コストの上にコストが載り、投資プランとしての妥当性を失っていたり、ブローカーが違法行為を行っていると法的に処罰され連絡が取れなくなるというケースもあります。
日本国内の人がオフショア保険による積み立てを行おうとする際に、IFAとの直接契約ではなくブローカー・紹介者が関わることによって日本国内で問題となっている商品として、
- フレンズプロビデント(Friends Provident International)のプレミアウェルス(Premier Wealth)やプレミアアドバンス(Premier Advance)
- RL360 (旧ロイヤルロンドン)のクオンタム(Quantum)やRegular Saving Plan
が例として挙げられます。
一部のブローカーがあの手この手で不適切販売を行うため、日本国内でのオフショア保険積み立ての評判はどんどん落ちています(もちろん商品やプランのせいではなく、自分が利するためだけに関わっているブローカーが原因です)。
不適切な販売がどのように行われるかの全てを話すとキリがなくなってしまうので、今回はブローカーが関わることによる”全く不要な費用”についてのお話しとなります。
オフショア積み立て保険のコスト
積み立てプランに内在しているコスト
ブローカーが関わるコストと積み立てプランそのもののコストを合わせて考えてみます。
RL360(旧ロイヤルロンドン)の積み立て商品であるRSPやQuantum(クオンタム)、またフレンズプロビデントのPremier Wealth(プレミア・ウェルス)やPremier Advance(プレミア・アドバンス)、Utmost(旧ジェネラリ)のVision(ビジョン)は積み立て期間と運用額によって年間平均コストが変動する仕組みになっています。
一般的には1%‐2%程になりますが、仮に今回の記事内ではプランの内在コストを1.5%としましょう。
プランを通じて保有・運用するファンド(ポートフォリオと呼びます)の成長率から1.5%が差し引かれることになります。
ただし積み立てプランによって細かい差は発生しますし、ボーナスタイミングによって運用過程での見え方が違ったりもします。
ポートフォリオが6.5%/年成長できているとすると、コスト引き後の成長率は5.0%/年になります。
2層目となる顧問料
当社ではこれを行っていませんが、前述の1.5%の上の2層目に1.0 %の顧問料を発生させる香港の日系IFAは多いです、、、というかほぼ全てそのやり方ではないでしょうか。
良し悪しの話をしている訳ではありません。
その顧問料・追加費用に値する結果が出ていれば良いと思います。
費用がただの費用になっているという場合もあるかと思いますが。
この2層目までで2.5%/年の平均コストとなっているので、継続して発生する運用費用としてはかなり一杯一杯です(私個人としては年間2.5%は既に高すぎだと思いますが)。
更に発生するブローカー費用・紹介者費用
ここまでで年間2.5%の管理費用が発生し続けるという話ですが、冒頭で述べたようにブローカー経由でオフショア積み立て保険を開始した方はブローカー費用を支払うことになります。
ブローカー費用の発生方法その1
顧問費用の一部をブローカーや紹介者に支払うというパターンです。
IFAとブローカーが共同でより高い%の顧問費用を設定し(最大1.5%)、一部をブローカーに支払うという形です。
運用管理・サービスがきちんと成り立っている可能性もありますので全てを否定はできませんが、私個人観点で不要と考えるブローカー費用の一つです。
ブローカー費用が無くとも、IFA側で全ての費用をがめている可能性もありますが。。
ブローカー費用の発生方法その2
何かしらプランに変更・調整内容がある度に手数料を発生させるというものです。
クレジットカードの変更手続き
一番頻度が高い変更内容はクレジットカードの変更ではないでしょうか。
もちろん少しは手間になりますが、私自身はそんなことにいちいち請求しておりません。
日本国内のブローカーにより、クレジットカードの変更をする毎に例えば1万円を請求する、2万円を請求するというようなことが行われています。
そもそも論なんですが、本人がきちんとオンライン・アカウントにログインできていればクレジットカードはそこから変えられます。
意図的にログイン情報が渡されていない可能性はあると考えざるを得ません。
積み立て額の変更手続き
全てと言って良いと思いますが、オフショア保険の積み立てプランは積立額の変更ができるようになっています(これを逆手にとって不適切販売がされているケースもありますが)。
例えば現在60,000円積み立てているのを40,000円にしたい、や、80,000円にしたい、ということはそれほど大変な内容変更ではありません。
これも変更手続き費用ということで10,000円や20,000円と作業費用を取ったり、別費用として翻訳サポート料のような形で費用請求しているブローカーもいるようです。
住所変更手続き
例えば引っ越しなどすると適当なタイミングで新居住所に登録住所を変更するべきですが、これも同様に数万円と請求される事例があります。
月々のブローカーのサポート費用
月々のブローカー費用というものもあります。
これには結構驚いたのですが、何かしらの実働が無くても月々のサポート費用のような形でフィーを発生させているケースもあるようです。
例えば月1,000円など、積み立てプランの契約本体とは別に固定費が発生し続けます。
そもそも積み立て運用/資産形成にならない
例えばですが、例えば50,000円/月を積み立てている方が、ある年に引っ越しし、登録住所を変更するとします。
また、クレジットカードも変更しようとすると、それぞれの変更でブローカーに20,000円×2=40,000円を支払うとします。
これに加え、月々1,000円(年間合計12,000円)の固定ブローカー費用が発生する場合はどうでしょう。
積立額50,000円/月の年間合計は600,000円です。
上記コストである、*住所変更作業 *クレジットカード変更作業 *固定ブローカー費用を考慮すると、運用とは関係ないところで年間元本600,000円に対し52,000円の出費が発生し、これは年間コストとして見ると8.7%のコストとなります。
元々の商品にコストが内在されているので(例えば1.5%/年)、それに加えIFAが顧問料を発生させているとすると(例えば1%/年)、合計で年間コスト10%を超え得るという訳のわからないことになります。
事実として日本国内ではそのようなブローカービジネスが存在し、結局投資家・積み立てを行っている人が割りを食うことになります。
これがオフショア保険=投資商品としてダメという話がうまれている背景の一つです。
既にブローカートラブルがある人は?
本記事内で言及しているコストの一つだけでも運用している人にとっては大きなインパクトがあります。
大事なポイントとしては投資家・契約者が運用を任せる相手・相談相手・アドバイザーは契約後も選び直せるということは理解すべきだと思います。
購入時にXというブローカーがいて、そこからY社というIFAに契約が繋がっていたとしても、未来永劫その環境を選ぶ必要はなく、事後的に契約を移管する権利が与えられています。
運用・契約構造によっては代理店・担当窓口を替えることによって不要なブローカーコストを排除できる場合もあるかと思います。
IFA/代理店にも問題はある
ブローカーが不適切な行為を行っているのにも関わらず、IFA/代理店は何か起きていても見て見ぬふりをしている場合は決して少なくありません。
人によってはブローカーや代理店に対し「お世話になっているから、、、」と我慢して支払い続けてしまう方もいるのかもしれませんが、自身の将来設計がかかっているのでそのような配慮は無用だと思います。
契約内容や居住国によって移管の受け付けが可能ではない場合もありますが、ブローカー費用のトラブル等があり移管を検討されている方はご連絡頂ければ確認致します。