ファイナンシャルプランニング

国際保険会社が提供する信託サービス「万が一の際に資産はどうなる?」

自分の資金が複数の通貨で管理されていたり、資金の所在地が一カ国だけじゃない、、、ということは決して珍しいことではなくなってきています。

為替リスクやカントリーリスクについて過度に考える過ぎるのもどうかとは思いますが、それでも一定の分散管理は必要不可欠ではないでしょうか。

私自身が仕事をする中で、その分散された国際資金の所有者に万が一のことがあったら資金はどうなるかという視点を非常に大事にしています。

昨今さまざまな本やYoutube動画を通して、いかにリスクをコントロールし資産形成していくかのような内容が議論されていますが、それ以上に大事なのは、万が一の際に資金が残された家族にスムーズに戻るかどうかではないでしょうか。

今回は、普段は話題として優先されない(でもとても重要です)信託・トラストについての内容となるので是非ご参考下さい。

かっしー
かっしー
資産運用の話となると、この運用をしたらどれぐらい増えるのか、、、のような議論が先行しがちす。

ライフプランニングの観点で様々なシナリオを想定し、そもそも資産が保全されるのかというポイントは非常に重要です。

国際保険会社が提供する信託サービス

信託とは”信じて託す”と書きますが、広義では”自分の目的や課題を叶えるために資金を託し管理・運用してもらうこと”を言います。

今回触れるのは一部の国際保険会社(オフショア保険会社とも言います)が提供する信託サービスで、運用開始後にどのタイミングであっても設定できるものです。

無くてもどうにかなる構造にもともとなっていますが、やっておいた方が有事の際によりスムーズです。

万が一の際に国際資金はどうなるか?

国際信託を説明する一つの例として、父・母・子の3人家族で、父が主に資産管理の詳細を把握しているとします。

父が主に資金管理する中で、どのような通貨がどのような形で、どの国の機関で管理されているかを母と子は知らないとします。

このような状況で万が一にも父が亡くなったらどうなるでしょうか?

事前準備をしていないから全ての資金を失う、、、ということは必ずしもなりませんが、やはり国際信託を設定しておく方が後々スムーズです。

信託を設定するということは、万が一の場合にお金をどうするのか、、、という議論が家族内でも行われるので、その機会が生まれるということも非常に大事と考えています。

実際どのように信託設定をするか?

一般的に私が使用するのはBeneficiary Trustという信託で、非常にシンプルなものです。

概念上、委託者(契約者・資産の保有者)が死亡時に信託が形成され、事前に決められた通りに機能することとなりますが、Beneficiary Trustで決めらた内容が果たされるためには、受託者と受益者の2者を設定しなければいけません。

要は委託者・契約者が有事の際に資金の流れや配分を決めておく立場の人で現時点における資産保有者で、

契約者が死亡し信託が形成されると、受託者が執行者・資産の責任者となり、

受益者が実際にお金を受け取る人になります。

受託者と受益者について

委託者は受託者と受益者を決めることになります。

まず、受託者(じゅたくしゃ)とは、委託者・契約者の信託目的に沿って資産の管理・処分を行う人のことを指します。

執行者という言い方もできますが、資金所有者が最も信頼を置く立場とされる人となります。

あくまで事前に決められた通りに執行する立場であり、資金を受け取るという立場ではありませんので間違いのないようにしてください。

受託者は通常18歳以上である必要があるのでこの点も注意です。

次に、受益者(じゅえきしゃ)とは実際に資金を受け取る人のことを指します。

前述の母・父・子の家族の例を使用すると、父が資産の保有者・契約者である場合、母を100%の受益者にしたり、また、他の例として、50%が母へ、50%が子へ、の形で譲渡されるように、2名以上を指定することもできます。

年齢等の観点で子に管理能力がない場合は通常は親を100%の受益者とすることが多いです。

また、大事なポイントとして受託者と受益者が同一人物であっても良いという点が挙げられます。

母が受託者・執行者となり、自身が受益するということが問題なく出来ます。

受託者を複数設定するケース

通常は受託者は1名で良いかもしれませんが、もし委託者と受託者が同時に死亡した場合はどうなるのか?と思われる方もいます。

父と母が同時に死亡してしまったというシナリオです。

その場合は委託者である父が受託者として母以外にもう1名選択することになります。

片方の受託者が死亡してももう一人の受託者が生存状態であれば、その受託者が信託を執行し子が受益者になるようにすると決めることもできます。

このケースでは少々複雑な設定・資料準備が必要となり、準備にそれなりの時間と工数を要するので有料のサポートとさせていただいています。

証人について

この作業を完了させるためには証人も必要となります。

必要であれば私自身が内容に応じて証人になることも可能ですが、それを希望されない場合は証人(署名を頂く人)をご自身で準備・依頼していただくことになります。

特に海外在住者にとって有用な信託サービス

今回ご紹介しているBeneficiary Trustは、誰でも信託サービスを受けられるというものではありません。

あくまで特定の保険会社の商品・プラン、プラットフォーム口座を利用している方であれば受けられるというものです。

信託サービスを提供していない会社を通して資産運用を行う場合、希望される方は信託サービスを個別で行っている企業を利用頂く必要があり、その場合はそれ専用の費用が発生します。

また、複雑性が増したり、ある程度大きな資金を運用されたり、時間をかけて資産形成されていたり、という方が多い中で、今回のBenficiary Trustはどこかのタイミングでやっておいて良いかもしれません。

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