海外に長く住み始めると、日本とは異なる金融商品・サービスに触れることが増えると思うので、何が自分に合っているのかを絞るのはなかなか難しいことかと思います。
マレーシアの定期預金も決して悪くないわけですし、現地の保険商品に関しても日本では無いようなものが存在したりします。
その中で、私は国際商品を優先使用して資産運用・ファイナンシャルプランニングのサポートをしている訳ですが、何故マレーシア商品の優先度が低いのか?
なぜ国際商品の中でもマン島やジャージー島(イギリス王室領)登録の会社・サービスを優先して使用しているのか?を改めて紹介できればと思います。
マレーシア商品を利用することの難点
マレーシア商品=国内用商品
日本で金融商品を買ったことがある方も多々いると思いますが、その場合継続保有は日本に住んでいることが前提になりますよね?
海外に住み始めるということが決まれば、所有している金融商品に対して適切な処理をする義務があります(それ自体も結構まどろっこしいですよね)。
これは日本だけでなく、マレーシアにも言えることです。
分かりやすい例を上げると、生命保険・もしくは生命保険型の投資商品を購入して、長年保有することになります。
マレーシアに10年も20年もずーーーーっと住む人であれば良いですが、実際にはどれほどいるのでしょうか?
長期で住む意思があったとしても家族や自身の体調の事情など、予期しない状況も発生するかもしれません。
そんな時に、マレーシア国内用の商品はどのように扱われるのでしょうか?
銀行口座が無くてどうやってお金を受け取るのか?
マレーシアの銀行に関して、銀行口座を個人が保有し続けるためには、その個人が継続してマレーシアに住んでいることが大前提となっています。
国際的にマネーロンダリング対策が強化されてきているので、マレーシアでも非常にその点に関して厳しくなってきています。
出入金などのお金の動きがあれば良いんでしょ?と言う人もいるんですが、全然そんなことはありません。
就労ビザなども確認されるため本人帰国後から1年以内に指導があったり、最短6カ月で凍結されたという事例が私の周りだけでも数件発生しています。
つまり、長期前提のマレーシア商品を持つ時に、マレーシアに住み続けることが100%確定していなければ、最終的にお金をどうやって受け取るのか?という問題が発生します。
この点を余り考慮していない方は多いかと思います。
もう一つ例を挙げると、マレーシアの証券口座のRakuten Tradeも同様です。
マレーシアに住んでいるうちはいいけどもその期間だけの証券口座保有が認められています。
言わなければいいんじゃないの?と言うような人もいるかもしれませんが、こちらも就労許可のステータスをチェックされているため実態について把握されます。
お金を下ろすための銀行が凍結されてしまえば、証券口座からもお金の引き出しができませんよね?
運用の観点で見れば、海外駐在員という立場であれば、場合によっては所有しているアセットの価値が一時的に落ちているときに、帰任しなければいけない、、、異動しなければならない、、、ということも起こえます。
その場合は、値段に関わらず即座に強制売却というシナリオになる訳です。
悪いマレーシアらしさが出る時
また、最近クライアントからお聞きした話でもありますが、マレーシアで投資用に保険商品を間違いなく複数購入したのにも関わらず、1つしか認識できないと言われたそうです。
ご家族全員も複数の購入は間違いないと言っている中で、悪いマレーシアらしさが出てぐだぐだになることが現実として発生しています。
このケースではご本人がまだマレーシアにいるからまだ対応できることもあるかと思いますが、もし他の国に住んでいる状態であればどうなるでしょうか?
最高にぐだぐだになることが想像できます。
マレーシアを揶揄するつもりはないですし、私は個人的に好きでマレーシアに住み続けている立場ですが、過度に信用しすぎないようにしています。
国際送金してくれるのでは?
ご本人がいなかったとしてもそれでも対応します、送金します!と販売員は言うかと思います。
それはそうです。
コミッションを受け取って後は顧客のお金やプランがどうなっても経済的なマイナスは販売員に発生しないのでなんでも言います。
アンチマネーロンダリングの観点から言えば、国際的に出金地と着金地が異なる時は別途で証明するべき事項も発生する場合がありますし、
海外口座にマレーシアの会社が直接送金をしてくれるかは非常に不透明です。
国際金融機関であれば、運用地・出金地と着金地が異なることは想定されているので問題になりませんが、
- マレーシア国内用商品であること
- 悪いマレーシアらしさが出る懸念
- 運用終了時にマレーシア在住でないという可能性
- 銀行口座が利用できなくなる懸念
を総合的に考慮すると、あまりに資産保全の観点でリスクが大きいと判断せざるを得ません。
国際商品使用でどうなるか?
対して国際仕様の商品・プランを使用すると以下の事項が最初から考慮・対応されています。
- 加入時と終了時の居住国が異なって当然
- 契約が居住場所に影響されず、あくまで個人についてまわる
- 最終的に本人であればどこでも受け取れる
- 契約がIMFやOECDレベルの投資家保護法で管理される
- 契約が政治的・社会的安定性のある国・地域で管理される
マン島・ジャージー島の登録会社・商品の使用により
上記項目はイギリス王室領のマン島・ジャージー島の登録の商品使用についてもまったく同じことが言えます。
投資家保護法により、個人資産が契約先の金融機関から完全に切り離され(リングフェンス制度)、例えば万が一倒産・清算が起きたとしても個人の資産は触れられることはありません。
マン島の話をすると、マン島は”国会”という概念発祥の地とも言われていて、長い年月の間に渡り政治的・社会的に安定が保たれてきた国際金融センターになります。
↓マン島金融庁の投資家保護法に関する原文はこちら↓
https://www.iomfsa.im/regulated-sectors/life-insurance/policyholder-protection/
特に優れている点は、投資家保護のセーフティーネットが二重になっていることです。
- 前述のリングフェンス制度で、そもそも個人のお金に触りようがないという点。
- 万が一この制度が破られた場合、マン島金融庁が90%まで保証しますという二重のセーフティネットが存在します。
このような理由もあり、マン島金融庁からしても、透明性の低い、マネーロンダリング対策の弱い、経済的足腰の弱い金融機関は、マン島での登録をさせるわけにはいきません。
適当に金融機関を乱立させるわけではなく、国際的に信頼に足る企業だけ登録許可し、国際金融センターとして、ムーディーズの国際評価でもAa2を保持しています。
参考までにマン島(Isle of Man)の紹介ビデオを掲載します。
マン島の概要①
マン島の概要②
国際商品利用の難点
国際商品が日本国内で販売されるとトラブルが起きることがあります。
それは、国際金融センター側の問題でも、法律の問題でも、商品構造の問題でもなく、日本にいる仲介者の問題です。
商品を理解していない、そもそもきちんと英文の説明を読めない、都合の良い解釈だけを全面に出すような紹介者・ブローカーが国際商品を日本国内で”取り扱って”います。
間違った解釈で販売し、かつ、その間違った解釈に対して、サポート料を発生させているようでは最初から投資になっていませんよね。
デメリットしか生まない仲介を経由しないことは非常に大事なポイントです。
国際商品利用による資産運用・形成
私自身もマン島・ジャージー島の金融機関でお金を管理しています。
運用中の保全性については何の心配もしていません。
保全性が担保されている状態がまず大事で、その後に運用が何パーセントなんだ!いう議論になるのが適切な順番になるのかなと思います。
一見よさそうに見えるものであっても、隠れた問題、後付けで発生しうる問題が多そうなもの関しては自信をもって人に勧めることはできません。
一括運用にしろ、元本保証商品にしろ、私的年金積立にしろ、人生設計を通じて国際的なキャリア・生活が考えられる人であれば、マン島登録・ジャージー島登録の環境が最も投資家の観点でみればフェアであると判断しています。